サプライチェーンのサステナビリティ

シスコのサプライチェーン

シスコのサプライチェーンについて

• 部品サプライヤ：シスコの仕様に従って製造パートナーに部品を提供する大規模なサプライヤグループ
• 製造パートナー：シスコの最終製品を生産する特定のサプライヤグループ
• ロジスティクス サービス プロバイダー：部品や最終製品を輸送するサプライヤ
• 修理パートナー：修理拠点を運営し、サービス修理を行うサプライヤ

シスコのデューデリジェンスシステム

シスコは、サプライチェーンのデューデリジェンスシステムの基礎として、責任ある企業行動のための OECD デュー デリジェンス ガイドラインと国連のビジネスと人権に関する指導原則を使用しています。以下に、シスコがどのようにデューデリジェンスを推進しているかについての概要を示します。詳細については、行動規範、人権、環境スチュワードシップページをご覧ください。

責任あるビジネス行動を方針と管理システムに組み込む

サプライヤと連携することは、ライツホルダと環境にプラスの成果をもたらすための基本です。シスコの供給基盤全体に一貫性のある基準を広めるために、サプライヤとの関係のライフサイクルにわたって、シスコの方針に示された期待に応えるようサプライヤに要請しています。サプライヤは、シスコに対して以下を遵守することを確認し確約しています。

• サプライヤ倫理綱領
• Supplier Code of Conduct
• Responsible Minerals Policy
• 年少者の労働に関する方針と期待事項
• 化学物質管理についてのサプライヤへの期待事項

確固たる方針を確立することは、シスコのコミットメントを明示し、サプライヤへの期待を設定するとともに、シスコとサプライヤの運営方法を導くのに役立ちます。シスコは、関連するサプライチェーン方針をサプライヤに伝達し、オンボーディング時または年次評価時にそれらの方針をサプライヤが確実に確認するようにしています。シスコのこれらの方針は、サプライヤと締結する基本購買契約書の標準文面に織り込まれています。

シスコのサプライチェーン人権ガバナンス委員会は、人権に関するリスクと機会をエグゼクティブが監視する場です。定期的にシスコの進捗と結果をレビューし、持続可能性と事業運営の両立を推進しています。この委員会は、サプライチェーン オペレーション担当シニアバイスプレジデントを筆頭に、グローバルでの製造オペレーション、サービス、ロジスティクス、グローバルでのサプライヤ管理、製品オペレーション、テクノロジーと品質、サプライチェーンの変革、法務を担当する各エグゼクティブによって構成されています。サプライチェーン オペレーションに携わる従業員は、サプライチェーンにおける人権問題に関するトレーニングを受けるとともに、サプライヤの持続可能性要件とビジネスにおける重要性について定期的に説明を受けています。

実際の悪影響および潜在的な悪影響を特定して評価する

シスコは、社会的および環境的リスクに焦点を当てて、既存のサプライヤ拠点の年次評価を実施しています。これにより、シスコのプログラムの範囲を評価して、より詳細な調査を実施すべきサプライヤ拠点を把握できます。これらのリスク評価には、信頼できる情報源から提供された地理的リスク指標、サプライヤのオペレーションと生産から生じるリスク、サプライヤとシスコとの関係が組み込まれています。

シスコはこれらの評価結果に基づき、オンサイト監査または調査を通じて詳細を把握すべきサプライヤ拠点を選択します。サプライヤが当社の方針に違反していることが判明した場合、是正措置計画を通じてすべての問題を是正するようサプライヤに働きかけます。

また、シスコは、サプライチェーン全体での重大度と発生の可能性に基づいて、サプライチェーンに悪影響を及ぼすリスクに優先順位を付けて対応します。たとえば、地理的リスクの蔓延に基づいて地域の是正措置計画を作成したり、運営上のリスクに基づいて商品に焦点を当てた戦略を作成したりします。また、監査やその他の評価で判明した不適合を分析し、最も発生する可能性が高い、または頻繁に発生するリスクをサプライヤが防止、軽減できるようにするトレーニングを開発します。

すべての拠点の年次リスク評価に加えて、買収によるものを含め、新しいサプライヤまたは新しいサプライヤ拠点を評価します。リスクが判明した場合、そのサプライヤとの取引拡大に先だって対処が必要か追跡調査します。調査対象のリスクの例：

• 外国人移民労働者の雇用
• 18 歳未満の労働者の雇用
• サプライヤの直近の Responsible Business Alliance（RBA）監査における未解決の重大な規範不適合
• 既存の環境汚染

悪影響を停止、防止、緩和する

シスコは、サプライチェーンのリスクを防止、停止、または軽減するために複数の戦略を使用しています。人権や環境に関する不適合に対処する際にシスコが使用する手段は 5 つあります。その中には、シスコが単独で行うものと、他の組織と協力して行うものがあります。

• サプライヤの能力向上：シスコは、サプライヤと現場の労働者に、社会的および環境的リスクに対処し、ベストプラクティスを促進するための基本的なスキルセットを提供することを目指しています。たとえば、2022 年度には、責任ある採用、健康と安全、労働者の関与、水資源の節約、温暖化ガスについての報告、目標設定などに関するトレーニングを実施しました。
• サプライヤの説明責任：サプライヤがシスコの方針に適合していない場合、是正措置計画の実施を要求した上で、サプライヤがクローズするまで監視します。サプライチェーンの管理者は、これらの計画に対するサプライヤのパフォーマンスについて定期的に通知され、進捗についての説明責任をサプライヤに課します。問題解決に向けてシスコの力が及ばない場合、同業他社と共同で対処します。サプライヤに改善の努力が見られなければ、新規の取引の停止や、正当な理由があれば関係の解消といった措置をとる場合もあります。
  
  シスコはサプライヤスコアカードを用いて、環境と人権に関するシスコの要求事項にサプライヤがどの程度適合しているか測定し管理しています。スコアカードは、調達先の判断材料になるとともに、ビジネスレビュー時にサプライヤとのディスカッションで使用されます。スコアカードは、シスコのサプライチェーン ビジネス プロセスで調達および購買に関する決定を行う際にも考慮されます。コスト、品質、提供サービスとともに、持続可能性に関する評価結果を報告することで、調達責任者はサプライヤと取引をする際に、情報に基づいた意思決定を行うことができます。スコアカードの持続可能性の部分には、次の項目が含まれます。
  • シスコの方針に適合した紛争鉱物の報告と鉱物の調達
  • RBA 監査の完了と是正措置計画のタイムリーなクローズ
  • 外国人移民労働者や若年労働者など、弱い立場にある労働者の保護
  • 公害防止活動と、環境、健康、安全に関する認証
  • 温暖化ガス、水、廃棄物に関する情報開示
  • GRI スタンダードに準拠した情報開示
• 業界でのコラボレーション：シスコは、サプライヤが明確で一貫性のある達成可能な基準を持つための鍵は、業界でのコラボレーションにあると考えています。業界は共通の認識を持つことで、サプライヤが必要な改善を行うのを協力して助けることができます。シスコは、シスコが創設メンバーである Responsible Business Alliance（RBA）のほか、責任ある労働イニシアチブ（Responsible Labor Initiative、RLI）、責任ある鉱物イニシアチブ（Responsive Minerals Initiative、RMI）、および European Partnership for Responsible Minerals（EPRM）に積極的に参加しています。また、Institute of Public and Environment Affairs（IPE）、CDP、Alliance for Water Stewardship とも提携しています。影響力を強化するためにシスコが連携しているステークホルダの詳細をご覧ください。
• ライツホルダの関与：シスコは、サプライヤの工場の労働者や周辺コミュニティの人々の声に耳を傾けたいと考えています。この取り組みには、労働者へのインタビューや、サプライヤの工場における労働者と管理者のコラボレーションとコミュニケーションを促進するためのプログラムが含まれます。また、シスコのサプライヤ拠点を取り巻くコミュニティが環境問題に関与することをサポートするとともに、複数のステークホルダとのパートナーシップを通じて鉱業コミュニティに利益をもたらします。2022 年度、シスコのサプライチェーンチームは、弱い立場にあるグループやステークホルダとの協議に重点を置くための社内ワークショップを開催しました。このワークショップは最終的に、翌年の行動に優先順位を付けるのに役立ちました。この取り組みは、2023 年度に予定されているサプライチェーンにおける人権への影響の評価（労働者へのインタビューあり）と相まって、ライツホルダをシスコの持続可能性戦略の中心に据える役割を果たす見込みです。
• 是正措置：シスコは、該当する場合、影響を受けるライツホルダに是正措置へのアクセスを提供することを目指しています。たとえば、サプライヤ拠点の労働者が採用手数料を支払っていた場合、シスコはサプライヤから影響を受ける労働者までのすべての関係者と協力し、業界のパートナーシップを活用して、労働者への手数料の返済を促します。

シスコは、上記の取り組みから収集されたデータと情報を、進行中の戦略的決定やプログラムによる決定に確実に反映できるよう努めています。

実装と結果を追跡し、学んだ教訓をデューデリジェンスの改善に活用する

シスコは、複数の重要業績評価指標を使用して、リスク軽減の取り組みの実装と結果を追跡しています。リスク測定のための重要業績評価指標を作成するアプローチでは、可視性（監査、調査、またはシスコの方針に対するサプライヤの適合性を評価するレポート）、パフォーマンス（サプライヤがシスコの要件を満たしているかどうか）、および変化（サプライヤの行動に対するシスコの影響を示す指標）に重点を置いています。たとえば、シスコは、実施された監査の数や、国ごとに特定された主要な不適合を追跡して報告します。さらに、監査でサプライヤのパフォーマンスを追跡し、高い適合性を示しているサプライヤや、効果的な是正措置を行うために能力の向上が必要なサプライヤを判断します。是正措置が必要な場合は、クローズするまで監視し、改善されたパフォーマンスが長期間持続するかどうかを追跡します。プログラム全体でこのアプローチを活用して、プログラムとサプライヤのパフォーマンスの継続的な改善を推進しています。

サプライヤレベルのパフォーマンスを追跡することに加えて、シスコはこれらのデータを分析して洞察を得て、能力向上、ステークホルダとの連携、プログラム戦略などの継続的な戦略的決定およびプログラムによる決定に反映します。デューデリジェンスの取り組みを消化して反映することで、積極的なフィードバックループを生み出し、それによって取り組みを改善し続けることができます。

サステナビリティ チャンピオン

シスコの従業員は、調達やサプライチェーンにおいて持続可能で倫理的な実務を推進していく上で重要な役割を果たします。四半期ごとに、シスコが目指す持続可能性と循環型社会の実現への取り組みを日常業務の中で誇りを持って実践した個人をサステナビリティ チャンピオンとして表彰しています。シスコの Web サイトで表彰者の体験談をお読みください。

コミュニケーション

デューデリジェンスの取り組みでは、成功、課題、継続中の問題について、社内外の主要なステークホルダに伝えることが不可欠です。複数の法域で事業を展開する上場企業として、シスコは適用される規制要件に従って、サプライチェーンの分野での取り組みを開示しています。シスコの取り組みは、この ESG ハブ、年次パーパスレポート、奴隷制度と人身売買の防止に関する年次声明、紛争鉱物に関する報告、温室効果ガスと水に関する CDP 報告書でご覧いただけます。